L-アラビノースという甘味料をご存知ですか?
昨今いろんな人工甘味料が出来ていますが、L-アラビノースを使った甘味料はほとんど出回っていないので、ご存じない方が多いです。
砂糖に近い良質な甘みで、血糖値が上がらないというユニークな特性を持っているのですよ。
今回はこのL-アラビノースについてお話しします。
L-アラビノースとは
L-アラビノースは、ブドウ糖とは構造や炭素数が異なる、天然由来の単糖類です。
L-は分子構造の型を表す記号なので気にしなくて結構です。
とうもろこしや甜菜(ビート)などの植物に含まれていて、食品ですと味噌や醤油などの発酵食品にも少量ですが含まれています。
砂糖に非常によく似た甘味で、甘さは砂糖の50~60%になります。
しかしながら、製造コストがかかりすぎて非常に高価なものになるため、ほとんど利用されてこなかったという経緯があります。
L-アラビノースの血糖値上昇抑制効果
L-アラビノースは、糖質であるにもかかわらず、砂糖を摂取したときの血糖値の上昇を抑制するという機能を持っているのが大きな特長です。
砂糖(ショ糖)は「スクラーゼ」という消化酵素で「ブドウ糖」と「果糖」に分解されるのですが、L-アラビノースはこのスクラーゼの働きを阻害することが分かっています。
人における試験結果がいくつも報告されていて、例えば砂糖に対して3%及び4%のL-アラビノースを添加した場合の、最大血糖値の上昇抑制率は、それぞれ42%、48%と報告されています。
たくさん摂取してもその効果は特に大きく変わらないそうです。
出典:日清オイリオグループ株式会社
つまり、砂糖の替わりに使用する人工甘味料ではなくて、ほんの少量砂糖に加えるだけで、半分近くは吸収されない。
しかも良質な甘味で、砂糖の味を損なわないのがL-アラビノースの特長なのです。
分解されなかった砂糖とL-アラビノースは、そのまま大腸まで行って、ビフィズス菌を増やす餌になります。
オリゴ糖などと同様に、腸内環境も良くするんですね。
L-アラビノースのセカンドミール効果
「セカンドミール効果」とは、食事による血糖値への影響もしくは効果が、次の食事まで持続して影響するということを意味します。
GI値を提唱したことで有名な、カナダ・トロント大学のジェンキンス博士が提唱した考えです。
砂糖(ショ糖)とL-アラビノースを一緒に摂取すると、緩やかに腸内を流れて数時間滞留するため、次の食事に対しても砂糖(ショ糖)の分解・吸収抑制効果があるそうです。
(2007年、2010年の日本栄養・食糧学会での発表内容による)
甘いものを間食するときにも良さそうですね。
食物繊維との相乗効果
L-アラビノースは、砂糖(ショ糖)を分解するスクラーゼにだけ働いて、その吸収抑制率も50%近くになりますが、砂糖以外の糖質には作用しません。
そのため、砂糖以外の糖質にも効果がでるような方法も検討されています。
例えば、トクホの関与成分である難消化性デキストリンとL-アラビノースを配合すると、難消化性デキストリン単独の場合よりも1.7倍の血糖値抑制効果があったとする試験結果もあります。
L-アラビノースの安全性
L-アラビノースは天然由来の糖質ですので、安全であることは容易に予想されますが、ヒトに対して影響しない最大摂取量は,L-アラビノース単独で15g、L-アラビノースを3%添加した砂糖では150gと報告されています。
L-アラビノース単独の15gは、3%添加した砂糖に換算すると実際は500gに相当しますので、安全性に問題はないといえます。
L-アラビノースを使った甘味料
L-アラビノースの特定保健用食品(トクホ)
L-アラビノースを関与成分として特定保健用食品(トクホ)の認可を得た製品は3つあります。
- アラビノシュガー(日清オイリオグループ株式会社)
- アラビスイート(味の素株式会社)
- 三和アラビノinシュガー(三和澱粉工業株式会社)
いずれも卓上甘味料で、砂糖にL-アラビノースを3%添加したものです。
しかし現在は、Amazonや楽天などの通販でも販売していませんし、スーパーやドラッグストアでも見つけることができませんでした。
やはり砂糖加工食品としてはお値段が高いからでしょうか?
アラビノシュガーは2010年ですが、180g入り714円、800g入り2,520円でした。
砂糖と合わせて自分で作る
L-アラビノース入りの甘味料は、L-アラビノースがあれば砂糖と混ぜるだけですから、自分で作ることができます。
興味があれば、L-アラビノースを探してみてください。難消化性デキストリンとの合わせ技も効果的です。