カテキン:緑茶を飲むと血糖値が下がるの?徹底調査しました

茶カテキンと血糖値 血糖値を下げる成分

カテキンはフラボノイドの一種でお茶の渋味成分にもなりますが、血圧上昇抑制作用、血中コレステロール調節作用、血糖値調節作用、抗酸化作用、抗癌作用など、様々な効果があると言われてきました。

特に緑茶などに含まれる茶カテキンは、日本で昔から飲まれてきた飲料ですので、なじみが深いです。

では本当に緑茶を飲み続けると、血糖値が下がるのでしょうか?

今回はこの茶カテキンについて掘り下げてみようと思います。

茶カテキンの正式成分名は?

茶カテキンには、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン (EGC)、エピカテキンガレート (ECg)、エピガロカテキンガレート(EGCg)という4つの成分があり、普通は総称してカテキンと言っています。

EGCgが最も多く、4つを合計すると、水分を除く茶葉の13~30%になるそうです。

EGCgとECgは、ガレート型とも言い、これだけ抽出している製品もあります。

覚えておく必要もありませんが、こういった名称が出てきたら、茶カテキンのことだと思ってください。

茶カテキンの成分

出典:日経Gooday

ちなみに、メチル化カテキンというのは、カテキン類の一部に「メチル基」がくっついたもので、「べにふうき」などの特定の品種に多く含まれています。

メチル化カテキンはアレルギー症状を抑える作用があると言われています。

カテキンのトクホ(特定保健用食品)や機能性表示食品

カテキンを機能成分として取得したトクホや機能性表示食品は、実はどれも体脂肪を減らすことを表示許可されたもので、血糖値に対するものはありません。

花王「ヘルシア緑茶」は、「脂肪を代謝する力を高める」という表示許可を得たトクホ。

350ml当たり 茶カテキン540mg、カフェイン約80mgを含む。

伊藤園「2つの働き カテキン緑茶」は、「体脂肪が気になる方に適しています」と「血清コレステロール、特にLDL(悪玉)コレステロールを低下させるのが特長」という、2つの健康表示を持つトクホ。

350ml当たり 茶カテキン197mg、カフェイン30mgを含む。

同じく伊藤園の、「まるごと健康粉末茶『濃いみどり』」も、「①体脂肪を減らす」「 ②LDLコレステロールを減らす」という機能性表示食品。

ガレート型カテキン394mg(※スティック2本を600mlの熱湯で1分間抽出した際の分析値)

株式会社タイヨーラボ「サンフェノンEGCg(イージーシージー)カプセル」は、「EGCgには、エネルギーとして脂肪を消費しやすくすることが報告されています。本品は、BMIが高めの方に適しています。」という機能性表示食品です。

1日目安5粒(EGCg300mg)

血糖値に対するカテキンの効果は?

茶葉

花王の高濃度茶カテキン調査

花王はカテキンの研究を積極的に行なってきましたが、実は2005年に糖尿病との関連を調べています。

インスリン治療を行っていない43名の2型糖尿病患者を対象に、投薬治療内容や生活は今までどおりとして、高濃度茶カテキン飲料(茶カテキン約576mg/340mL)、もしくは一般緑茶飲料(茶カテキン約75mg/340mL)を、1日1本、12週間継続して摂取してもらうという方法です。

その結果、高濃度茶カテキンを摂取した患者群では、血糖値が134.1±5.6mg/dLから126.2±4.4mg/dLへ約8mg/dL低下、HbA1cは6.7±0.2%から6.3±0.2%へ約0.4%低下、特にインスリン分泌促進剤投与者でインスリンの有意な増加とHbA1cの減少が認められたとのこと。

カテキンには膵β細胞保護作用があるといった報告があることから、この作用によってインスリン分泌能が回復し、血糖コントロールが改善すると推測されたとしています。

(※膵β細胞はインスリンを出すところ)

大阪大学医学部の糖尿病発症追跡調査

文部科学省の科学研究費を使った大阪大学医学部の5年間(2001~2006年)の追跡調査によると、「糖尿病」の発症を申告した444名(男性231名、女性213名)では、緑茶を飲むことが週1回以下の人と比べて、緑茶を1日6杯以上飲む人は「糖尿病」の発症率が33%少なかったということです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16618952 (英語)

静岡県立大学の研究報告(2008年)

お茶の産地で有名な静岡県立大食品栄養科学部でもカテキンの研究を行なっています。

カテキンの摂取量を一定にするため実験用の緑茶粉末を作製し、これを毎日、湯に溶かして飲むグループと、飲まないグループに分けて、2ヶ月後の血糖値を比較。

その結果、緑茶粉末を飲んだグループでは、HbA1c(ヘモグロビンA1C)の値が、当初の平均6.2%から5.9%に下がったが、飲まなかったグループには変化が無かった。

飲まなかったグループに改めて飲んでもらい、2ヶ月後に再計測すると、平均6.1%から5.9%に下がっていたということです。

境界型糖尿病には緑茶が効果的:静岡県立大

花王はなぜカテキンと糖尿病の関連調査をやめたのか?

花王はその後、カテキンの研究を「脂肪代謝」との関連にシフトして、「ヘルシア緑茶」でトクホを取得しました。

なぜ血糖値をやめて体脂肪へ研究を進めたのでしょうか?

はっきりした理由は分かりませんが、十分に効果があった対象者がインスリン分泌能力の低い人と限定的で、因果関係の究明も不十分と判断したのではないでしょうか?

大阪大学と静岡県立大学の報告でも、理由については触れられていません。

カテキンの安全性

肝障害とカテキンに因果関係はある?

カテキンは、以前ヨーロッパでは一般医薬品として販売されていましたが、肝臓移植が必要になるような重症例が出たことで、販売禁止措置がとられたとのこと。

どんなものを、どれだけ投与してそうなったのか分かりませんが、2003年にフランスとスペインで起きた事例でフランス当局は、「抽出方法(水アルコール抽出)の特殊性から本製品にのみに関与した特別な問題である」との見解を示したそうです。

 

カナダ保健省 (Health Canada) は2007年1月、「緑茶抽出物製品の摂取との関連が疑われる肝毒性の事例」を公表しています。

Canadian Adverse Reaction Newsletter(英語)

この女性は、カテキンを1カプセル中100 mg含むものを、1日6カプセル (カテキンとして600 mg/日) 、6ヶ月間摂取していました。(他の成分も含有しています)

また、女性は家庭でノミスプレー (成分不明) を使用しており、さらに避妊用のホルモン注射剤による治療 (3ヶ月に1回) も受けていたということで、因果関係は不明です。

 

他にも、緑茶の水アルコール抽出物 (25%のカテキンと5~10%のカフェインを含む製品) による「劇症肝炎」の疑いを報告したものもありますが、これも因果関係は不明です。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16148563?dopt=Abstract (英語)

一般的に、水アルコールで抽出すると、想定外の物質が抽出・濃縮されて、それが有害となる可能性もあります。

また抽出物を錠剤やカプセルの形状にすると、簡単に過剰摂取に至ることもあります。

抽出したカテキンの危険性

出典:「健康食品」の安全性・有効性情報

日本ではこういった茶カテキンに関わる健康被害の報告はありません。

緑茶の生産地では、1日に10杯以上のお茶を飲む方もいるそうで、茶カテキンに換算すると1000~1500mgになります。

「サンフェノンEGCgカプセル」を販売している株式会社タイヨーラボでは、人による試験で、エピガロカテキンガレート(EGCg)を一度に1600mg過剰摂取、もしくは1日800mgを10日間連続で摂取するという方法によって、安全性を実証しています。

カテキンと医薬品の相互作用

一方、医薬品との相互作用では、以下の医薬品と併用することで健康被害のリスクが生じる可能性があるとしています。

・血液凝固抑制剤(アスピリン,クロピドグレル,ジクロフェナク,イブプロフェン,ナプロキセン,ダルテパリン,エノキサパリン,ヘパリン,ワルファリン)

・肝障害を引き起こす可能性のある医薬品(アセトアミノフェン,アミオダロン,カルバマゼピン,イソニアジド,メトトレキサート,メチルドーパ,フルコナゾール,イトラコナゾール,エリスロマイシン,フェニトイン,ロバスタチン,プラバスタチン,シンバスタチン)

・降圧剤(ナドロール)

・筋萎縮側索硬化症ALS治療薬(リルゾール)

・麻酔導入薬・鎮静薬(ミダゾラム)

・抗がん剤(スニチニブ・ボルテゾミブ)

結論(まとめ)

茶カテキンと血糖値に関するメカニズムは明らかになっていませんが、大阪大学や静岡県立大学の報告を見る限り、緑茶を多く飲むと血糖値コントロールや糖尿病予防の効果がありそうです。

安全性に関しても、肝機能障害が起きた事例では茶カテキンとの因果関係は明らかになっていません。

水アルコールでの抽出や、他の摂取物との関連性が疑われています。

 

ならば、緑茶のまま飲んではいかがでしょうか。

緑茶には、カテキン、カフェインの他、テアニン、サポニン、γ-アミノ酪酸(GABA)、ビタミン類やミネラルなど、多くの成分が含まれています。

カテキンが最も多いお茶は「釜炒り茶」、次いで「煎茶」です。

お茶の種類別カテキンの量

出典:日本茶業中央会

抽出物を高濃度で摂取するよりも安全ですし、カテキンと他の成分も関係して血糖値に優位に働いているかもしれません。

ちなみに花王のヘルシア緑茶は、お湯で抽出しているので安全だそうです。

 

いっそのこと、抹茶にすれば茶葉の成分が丸ごと摂取できますよ。

いま、茶葉をすりつぶして粉末状にする、家庭用の機器があるのをご存知ですか?

手動ですと3,000円前後で手に入るスグレモノです。

茶ミル

私は3年前に購入したポーレックス製を使っていますが、他にもいろいろあります。

回すのが面倒なら電動茶ミルがいいと思います。

飽きて使わなくなる可能性が無きにしもあらずですが、けっこう楽しめますよ。

タイトルとURLをコピーしました