糖尿病を発症した場合、一般的に病院で処方される薬は「インスリン注射」もしくは「経口血糖降下剤」です。
経口血糖降下剤を飲んでいるのにも関わらず、なかなか血糖値が下がらないといった場合にインスリン注射を行うというのが基本的な流れになるようです。
しかし糖尿病は発症していないものの、健康診断で少し血糖値の数値が高いとなったら心配ですし、なんとか予防しなくてはといった気持ちになりますよね。
ただ少し血糖値が高いだけという段階では、病院で経口血糖降下剤を処方してもらうわけにもいきません。
そこで今回はそういった状況の方も摂取することのできる、医薬品以外で血糖値を下げる成分を持ったものを調査してみました。
いずれもハーブに含まれていたり、抽出合成してサプリメントに含まれている成分です。
血糖値を下げるお茶(ハーブ)やサプリメントの記事と合わせて参考にしてください。
難消化性デキストリン
難消化性デキストリンとは、加熱処理したじゃがいもやトウモロコシのデンプンをアミラーゼ(デンプンを消化する酵素)で加水分解し、難消化性成分(消化されない食物繊維の方)を取り分け、脱塩、脱色して調製される水溶性食物繊維です。
天然のでんぷんから作られた安全性の高い食品として古くから認められています。
ちなみにデンプンを分解したあとの消化性成分の方は糖質で、単にデキストリンと言います。
難消化性デキストリンは、整腸作用、食後血糖値の上昇抑制作用、食後中性脂肪の上昇抑制作用の3つの作用において、消費者庁より特定保健用食品(トクホ)に認められています。
そのため、ダイエット目的や糖尿病予防としても多くの方に利用されているのです。
摂取方法としては、難消化性デキストリン自体が粉末として販売されているものを購入し、水や料理、コーヒー、スープなどに適量を溶かして飲むといった方法がありますし、フリーズドライの味噌汁やスープなどに予め難消化性デキストリンが含まれているタイプもあります。
もちろん、サプリメントの成分として使われているものもあります。
さらにもっと簡単に摂取したいという場合、実はコンビニやスーパーなどで売っている、三ツ矢サイダー プラス、メッツコーラ、ペプシスペシャル、からだすこやか茶W、食事と一緒に十六茶Wといった清涼飲料水にも難消化性デキストリンが含まれています。
いずれも5g程度で、トクホの飲料になります。甘みがあるのに糖質ゼロなのは、アスパルテームなどの人工甘味料を使っているからです。
詳しくは→難消化性デキストリンのトクホが多いワケ
サラシノール・コタラノール
サラシノールとコタラノールは、インドなど南アジア地域に自生するツル性の植物であるサラシアから抽出される成分です。
このサラシノールとコタラノールは、どちらも糖質を分解する酵素であるα-グルコシターゼの働きを阻害し、小腸で糖の吸収を抑制するため、食後血糖値の上昇を緩やかにします。
インド、アーユルベーダの伝統医学では6000年前から糖尿病の予防のためにサラシアを利用してきたようです。
摂取方法としては、粉末、お茶、ハーブティー、カプセルなどで販売されているため、自分に合った方法を選択することになります。
若干、苦みがあるため、粉末やお茶、ハーブティーの場合は、他のハーブティーとブレンドすると飲みやすくなります。
どれが効果的かは製品によりますが、有効成分を抽出したエキスを配合したサプリメントは、食前に一粒飲めばよいので、楽かもしれません。
こちらに詳しい記事があります。
DNJ(デオキシノジリマイシン)とDMDP(ジヒドロキシメチルジヒドロキシビロジン)
この2つの成分もサラシアと同様に、糖質を分解する酵素であるα-グルコシターゼの働きを阻害します。
DNJ(デオキシノジリマイシン)は桑の葉、あおばなに、そしてDMDP(ジヒドロキシメチルジヒドロキシビロジン)はあおばなに多く含まれています。
どちらも一番手軽な摂取方法はお茶として飲む方法です。
糖質の吸収を防ぐ効果があるため、食前に飲むのが効果的でおすすめです。
ただし摂取しすぎると低血糖を引き起こす場合があるため、飲みすぎには注意が必要です。
詳しくは→桑の葉に含まれるDNJの機能と効果
イヌリン
糖質の吸収速度を緩めるという特徴があり、血糖値の急激な上昇を防ぐ効果があるイヌリン。この成分を最も多く含んでいるのはキク科ヒマワリ属の多年草である菊芋です。また菊芋ほどではないもののゴボウにもこのイヌリンは含まれています。
菊芋茶、ゴボウ茶にして飲むことが効果的な摂取方法となります。
食前、食後のどちらでも効果はあります。
ただし菊芋、ゴボウ共に食物繊維が豊富ですから、あまり飲みすぎるとお腹が張ってしまいます。飲みすぎにはご注意ください。
詳しくはこちらの記事を。
カテキン
カテキンの語源は、インドで採取されるマメ科アカシア属の低木ペグノキから採取される生薬「カテキュー」です。
このカテキンはポリフェノールの一種で日本では緑茶などに含まれている茶カテキンが有名ですね。
カテキンは血糖値の改善や糖尿病の予防として知られていますが、実はその仕組みについてはよく分かっていません。
抽出した茶カテキンよりも、お茶として飲むのがよいのかもしれません。
煎茶、番茶、ほうじ茶など基本的には日本茶であればなんでもOKですが、釜炒り茶、煎茶のカテキン量が多いです。
当然ですが、出がらしのお茶よりも1~2杯目の方がより多くカテキンを摂取できます。
また紅茶やウーロン茶にもカテキンは含まれていますが、日本茶に比べその含有量は少なめです。
お茶以外ではコーヒーや赤ワインに、そして食品ではチョコレートやぶどう、リンゴ、いちご、金時豆などにもカテキンは含まれていますよ。
カテキンの詳しい記事はこちら。
コロソール酸(コロソリン酸)
コロソール酸は、フィリピン、熱帯東南アジアで栽培されている常緑高木のバナバに含まれている成分です。
血液中にある糖の細胞内への取り込みを促す作用があり、インスリンと似たような働きをします。
これによってブドウ糖が効率的に細胞に取り込まれるようになり血糖値の上昇が抑えられます。
おすすめの摂取方法はバナバ茶として飲む方法です。
食前または食事中に飲むことで吸収が良くなり、血糖値の上昇にも効果があります。
さらにグァバ、連銭草、桑の葉とブレンドすることでより効果は高まります。
ピニトール
ピニトールは、マメ科の植物に存在する天然の物質です。
不妊の原因の一つではと言われている、多嚢胞性卵巣症候群の改善に効果があるということで、話題になったため、女性はピニトールという名前にピンと来る方が多いのではないでしょうか?
しかし効果はそれだけではありません。ピニトールは植物性インスリン様物質とも呼ばれていて、血液中のブドウ糖の巡りを良くする働きを持っており、血糖値を下げる効果もあるのです。
ピニトールは、大豆、豆乳、ルイボスティーなどからも摂取できます。
ただし1日に必要な量をこれらの食品から摂取しようとするとかなりの量を食べる、もしくは飲まなくてはなりません。
そのためサプリなどを使用して摂取する方が多いようです。
ピニトールについてはこちらの記事も参考に。
ポリペプタイドP(チャランチン)
ポリペプタイドPはゴーヤなどに含まれている成分の一つで、コロソール酸やピニトールと同様に、インスリンと似た効果を持っていると言われていて、このような成分をインスリン様物質と言います。
またゴーヤには糖代謝を高め、食物繊維が糖質の吸収を抑える効果を持つビタミンB1も豊富に含まれているため、ポリペプタイドPと併せてより高い効果が期待できます。
ピニトールと同様にゴーヤを食べることでポリペプタイドPを摂取するには、かなりの量を食べる必要があるため、おすすめの摂取方法はゴーヤ茶です。
お茶にすることで苦みも和らぎ、気軽に摂取できます。
ALA(5-アミノレブリン酸リン酸塩)
ALAとは5-Amino Levulinic Acid (5-アミノレブリン酸)の略称です。
生命の根源物質とも言われていて、ヒトや動物、植物といったあらゆる生命体で細胞のミトコンドリアに存在し、生命維持のための重要な役割を担っているアミノ酸の一種です。
さらにALAは、ヒトや動物において、体内で鉄分と結びつき、血液中のヘモグロビンの原料となるなど代謝に必要不可欠な物質でもあります。
さらに研究の結果、ALAには糖をエネルギーに変えることで血糖値を下げる効果があることが分かっています。
つまり糖尿病を予防するという意味でもALAはとても重要な成分なんですね。
詳しくはこちら⇒ALAをわかりやすく解説します
各成分が入ったサプリメントやお茶については、こちらの記事を。
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