風邪、便秘、花粉症、冷え性、むくみ、疲労など、古くからハーブティーなどの飲み物には、さまざまな効果、効能があると言われています。
その中にはもちろん血糖値を下げる成分を含むハーブやお茶も存在します。
そこで今回は血糖値を下げる効果があると言われているお茶や飲み物をご紹介します。
お茶や飲み物で血糖値をコントロールする機能は次の3つに分類されます。
①糖質を分解するのを妨げる、②糖が小腸から吸収されるのを妨げる、③血糖を細胞へ取り込むのを促進する。
それでは順番にご説明しましょう。
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糖質の分解を阻害する効果を持ったお茶
まずは糖質を分解する酵素の働きを阻害する効果をもったお茶をご紹介します。
サラシア茶
サラシアの産地はインドやスリランカ、中国南部などで、古くから薬として利用されてきたツル科の植物です。
葉よりも地下の茎や根、幹の方を使います。
このサラシアに含まれているサラシノール(別名ダスデス)とコタラノールという成分が、
糖質を分解する酵素(α-グルコシダーゼ)の働きを阻害して、食後血糖値の上昇を緩やかにします。
ですから、サラシア茶は食前に飲むのが一番効果的です。
副作用は特にありませんが、過剰に摂取すれば何かしら体に異常を来すことは否めません。
サラシア茶に関しても一度に大量に摂取することで、下痢、腹痛といったことが起こることがあります。
飲み過ぎには十分、気を付けてください。
サプリメントでもよく使われていますが、粉末のお茶もあります。
桑の葉茶
桑の葉は、中国・インド・ブラジル、そしてヨーロッパ各地など世界の多くの地域で栽培されているクワ科クワ属に属する植物で、日本でも南東北、北関東、甲信地方、南九州、沖縄などさまざまな地域で栽培されています。
桑の葉の成分であるDNJ(デオキシノジリマイシン)にはサラシアに含まれているサラシノールと同様に糖質を分解する酵素、α-グルコシターゼの働きを阻害し、小腸での糖質の吸収を抑制することで、食後血糖値の上昇を防ぐ効果があります。
サラシア茶と同様に糖質の吸収を防ぐ効果があるため、食前に飲むのが一番おすすめです。
副作用も特にはありませんが、やはり過剰摂取には注意をしてください。
あおばな茶
あおばな茶は、ツユクサの栽培変種でオオボウシバナとも呼ばれています。
日本では江戸時代中期から滋賀県草津市だけで栽培されています。
花弁の青い色素を和紙に染み込ませ、京友禅の下絵を描く染料になる青花紙の原料としても用いられるなど、日本人にとっては古くからなじみのある花です。
さらにその後、さまざまな研究によって、あおばなの成分は糖尿病に効果があることが分かりました。
この研究結果を基に、お茶などの健康食品として商品開発が行われるようになったのは2000年頃と最近のことです。
あおばなに含まれている主な成分は桑の葉と同じDNJ(デオキシノジリマイシン)とDMDP(ジヒドロキシメチルジヒドロキシビロジン)です。
飲み方はサラシア茶、桑の葉茶と同様に、食前に飲むことをおすすめします。副作用に関してもサラシア茶、桑の葉茶と基本的には同じです。
糖質の吸収を抑制する効果を持ったお茶・飲み物
次は小腸からの糖の吸収を抑制する効果をもったお茶です。
菊芋茶
菊芋はキク科ヒマワリ属の多年草です。原産は北アメリカですが、日本を始め世界中で栽培、もしくは自生しています。
原産がアメリカということもあり、アメリカイモと呼ばれることもあります。名前の中に「芋」が含まれていますが、通常の芋類とは異なり、デンプンはほとんど含まれていません。
菊芋は世界の植物の中でイヌリンを最も多く含んでいます。このイヌリンは、糖質の吸収速度を緩めるという特徴があり、血糖値の急激な上昇を防ぐ効果があります。
食前、食後どちらで飲んでもかまいません。副作用は特にありませんが、菊芋茶は食物繊維が豊富なこともあり、一度に大量に摂取するとお腹が張ってしまうことがありますので、ご注意ください。
ギムネマ茶(ギムネマシルベスタ)
ギムネマは、インドから中国を中心にアジア各地、アフリカの亜熱帯地域などで栽培されている、ががいも科、ホウライアオカズラ属、つる性多年草です。
ギムネマの成分であるギムネマ酸は、グルクロン酸というブドウ糖によく似ている構造の物質で、小腸からの糖の吸収を抑え、食後血糖値の上昇を抑えてくれます。食事中か食後のタイミングで飲むと良いでしょう。
このギムネマ酸は舌の味蕾にある甘味を感じる部分に結合し、その感覚を麻痺させ甘味を感じなくさせるという特徴があり、お茶として飲むと少し渋みのある苦味があります。
苦味を抑えるためにはブレンド茶にすることをおすすめします。糖尿病予防に効果のあるブレンドは、甘みのある菊芋、番茶のような桑の葉などです。副作用に関しては上述したお茶と変わりありません。
ごぼう茶
ごぼうに多くの食物繊維が含まれていることはご存知ですよね。
しかしごぼうは食物繊維を多く含んでいるだけではなく、菊芋ほどではありませんが、イヌリンも多く含んでいます。
つまり菊芋茶同様に糖質の吸収速度を緩め、血糖値の急激な上昇を防ぐ効果を持っているのです。
ごぼうを毎日料理して食すとなると大変ですが、お茶であれば気軽に摂取することが可能です。
皮を剥いたごぼうを天日干ししたら、フライパンで乾煎りし、その後熱湯で煮だします。
最後にごぼうをこせばできあがりです。このように簡単に作れますが、より手軽にと言う方はもちろん通販などで購入することも可能です。
副作用は菊芋茶同様に繊維質が豊富なため、一度に大量に摂取するとお腹が張ってしまうことがあります。
カテキンを含んだお茶4種
これまでに挙げたお茶の成分の他に、カテキンも昔から糖尿病に良いと言われています。
カテキンを多く含むお茶は、緑茶、ジュアール茶(アフリカツバキ茶)、ヤーコン茶、柿の葉茶などですが、特に緑茶の「茶カテキン」が海外でも有名です。
実は茶カテキンと血糖値との科学的な関連性は、よく分かっていません。
また、茶カテキンの摂取で「肝障害」を起こすという意見もあるのですが、これも関連性が不明です。
私が調べたところでは、緑茶は緑茶として普通に飲むほうが、糖尿病予防にも良いようです。
詳しくはこちらの記事を。
血糖を細胞へ取り込むのを助けるお茶
糖尿病を発症する原因の一つとして、血糖値をコントロールするすい臓ホルモンのインスリンが不足、もしくは働きが悪くなることで、血液中に糖がたまってしまうということが挙げられます。
つまり糖尿病の予防において、インスリンの働きを高めることは非常に大事なことであるといえます。
そこでここからはインスリンに似た成分(インスリン様物質)でインスリンの働きを助けるお茶をご紹介します。
バナバ茶
バナバはみそはぎ科、サルスベリ属、常緑高木で、フィリピン、熱帯東南アジアで栽培されています。
日本ではあまりなじみのない植物ですが、フィリピンでは1000年以上も昔から糖尿病予防としてバナバ茶が飲まれています。
また観賞用の植物としても人気で、日常的に親しまれている植物です。
バナバに含まれるコロソール酸(コロソリン酸)は、血液中にある糖の細胞内への取り込みを促す作用があり、インスリンと似たような働きをします。
飲み方としては食前または食事中に飲むことで吸収が良く、血糖値の上昇にも効果があります。
副作用は特にありませんが、糖尿病の既往歴がある場合は、医師または薬剤師に相談してから飲むようにしてください。
ゴーヤ茶
ゴーヤといえば以前は沖縄の独特な野菜といったイメージでした。
しかし現在では全国どこのスーパーでも販売されるほどポピュラーになり、ゴーヤチャンプルーなどゴーヤを使った料理もごくごく一般的になっていますね。
最近では食用だけではなく、夏場の強い日差しを避けるためにゴーヤカーテンとして窓辺に植えるといった使い方をされている方も多いのではないでしょうか?
ゴーヤに含まれるポリペプタイドP(チャランチン)という成分は、インスリンと似た効果を持っていると言われています。
またゴーヤにはビタミンB1も豊富に含まれていて、このビタミンB1が糖代謝を高め、食物繊維が糖質の吸収を抑える効果を持っています。
ゴーヤの苦味が苦手という方でもゴーヤ茶を冷やして飲むとそれほど苦味は感じませんので、試してみてはいかがでしょうか?
シジュウム茶(シジュウムグァバ)・グァバ茶
シジュウムはフトモモ科、バンジロウ属(バンジロウ属に属する常緑高木)です。
主に熱帯アメリカなど熱帯で栽培されています。シジュウム茶とグァバ茶は厳密には違うものですが、成分などは基本的にほぼ同じため、効果もほぼ変わりありません。
シジュウム茶、グァバ茶はアトピー、花粉症に効果があり、美白効果もあるということで、主に女性はご存知の方が多いかもしれません。
しかしそういった効果のほかに血糖値の上昇を抑える効果もあるのです。
シジュウムには、血糖値を下げるインスリンと似た作用を持つ成分が含まれているため、血糖値の上昇を緩やかに抑える効果があります。
副作用は特にはありません。ただしシジュウムに含まれるタンニンが鉄分の吸収を阻害するため、貧血気味の人は通常より薄めて、量も少なめにした上で過剰摂取はされないよう注意してください。
お茶が苦手だったり、もっと効率良く機能成分を摂取したいとお考えでしたら、サプリメントの方が良いと思いますので、こちらの記事を参考にしてください。