よく分かるHbA1cの解説|基準値やNGSP値、お手軽測定法も!

HbA1c 血糖値と糖尿病の知識

健康診断結果にHbA1cが何%とか載っているけど、よく分からない。

しかも少し高めですとか言われて、ちょっとあわてるということもよくある話です。

最近は一般の健康診断でも、血糖値とHbA1cをセットで測定することが多くなりましたので、糖尿病に関係する指標という認識は広まったようですが。

今回はこのHbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)を、徹底的に分かりやすく解説してみたいと思います!

何はともあれ、まず気になる数値のお話しから始めますので、「そもそもHbA1c ってなに?」という場合は、目次からジャンプして先に読んで頂いても結構です。

HbA1cの基準値は?

HbA1cを一言で説明すると、「赤血球の中にあるヘモグロビンのうち、ブドウ糖がくっついているヘモグロビンの割合」です。

ですから血糖が増えれば、それだけ割合も増えることになります。

日本糖尿病学会による基準値

糖尿病判定は血糖値とHbA1cの両方を見て行いますので、HbA1cだけで糖尿病と判定されることはありませんが、HbA1cの基準値は以下のようになっています。

6.0%未満が正常型

6.0%以上6.5%未満は境界型

6.5%以上は糖尿病型

7.0%以上になると、糖尿病性神経症や糖尿病性網膜症などの合併症リスクが高まるとされています。

ちなみに、HbA1c6.5%は、空腹時血糖値126mg/dLおよびOGTT2時間値(ブドウ糖負荷試験)200mg/dLに、ほぼ対応することが示されています。

※血糖値だけで糖尿病と判定されるケースはあります。

詳しくは→【保存版】血糖値の基準値と糖尿病判定のまとめ

年齢や性別による差

血糖値やHbA1cは、年齢や性別によって平均的な値が違うものですので、それも参考に見ておきましょう。

厚生労働省が発表している、「国民健康・栄養調査」には、HbA1cの性別・世代別平均値が2002年からあります。(2012年までは後でお話しするJDS値)

下の表は2015年の統計を分かりやすくしたもので、母数は男性1,325名、女性1,975名です。

HbA1cの平均値

やはり年齢を重ねるごとにHbA1cの平均値は上がっていきます。

男性は40代から50代になると急激に上がっているのに対し、女性は比較的緩やかに上昇していくようですね。

ご自分のHbA1cが、同世代の中では高めか低めかが分かると思います。

 

HbA1cのNGSP値とJDS値とは?

JDS値とは、日本糖尿病学会(Japan Diabetes Society)が定めた測定条件によるHbA1cの値で、現在は使われていません。

2010年に糖尿病診断基準が改訂された際に、「HbA1c(JDS)≧6.1%[HbA1c(国際標準値)≧6.5%]の場合も糖尿病型と判定する」と付け加えられました。

ここでの国際標準値というのが、諸外国で使われていたNGSP値(National Glycohemoglobin Standardization Program の値)に相当します。

JDS値に0.4%プラスした値で表記していました。

その後2011年10月に日本もNGSPの認証を得て、2012年4月1日からはNGSP値で測定されるようになりました。

その際、診断基準も HbA1c(NGSP)≧6.5%[HbA1c(JDS)≧6.1%] と表記が変わっています。

2014年からはNGSP値のみを使用することになりましたので、現在はJDS値が出てくることはありません。

 

血糖値コントロールはHbA1cを見て

日本糖尿病学会の「糖尿病治療ガイド2016-2017」では、血糖コントロール目標の指標として、HbA1cを使用しています。

糖尿病治療ガイド2016-2017(抜粋)

 

血糖値コントロール目標

血糖コントロール目標にHbA1cを使用する理由は、日々の変動が少なく、血糖値のように食事条件などによって左右されないからです。

HbA1cは過去1~2ヶ月間の平均的な血糖値の状態を表します。

慢性的な高血糖が反映される、最も信頼できる指標が、HbA1cなのです。

なぜ過去1~2ヶ月間の平均的な血糖値の状態かというと、それはヘモグロビンが存在する赤血球の寿命に関係しています。

赤血球の平均寿命は120日(約4ヶ月)ですが、全部が一度に入れ替わるわけではなく、日々少しずつが新しくなっていきます。

3~4ヶ月後まで残っている赤血球は10%程度ということで、おおよそ過去1~2ヶ月間の血糖値の状態を表すとされているのです。

 

HbA1cの値がぶれる要素はないのか?

HbA1cは、誰でも等しく血糖値の状態を表すのでしょうか?

実はこれもヘモグロビンを含む赤血球の状態に左右されます。

貧血などで赤血球がうまく作れない、寿命が短くなるなどの障害があると、血糖値の状態に比べてHbA1cが低くなってしまうからです。

そのようなケースでは、やはり血糖値も合わせて見る、あるいはアルブミンというタンパク質に糖がくっついた、グリコアルブミン(GA)という指標を使うことも有効です。

 

HbA1cを下げるには

HbA1cが上昇するまでには、食後高血糖が頻繁に起こる、空腹時血糖値も上がるといった順番がありますので、HbA1cを下げるのも食後血糖値が上がらないようにするところからです。

食事療法、運動療法、サプリメントなどを合わせて、血糖値コントロールします。

HbA1cが変化するのは1~2ヶ月後ということを知っておきましょう。

 

HbA1cを安く手軽に測定する方法

一般の人は健康診断以外でHbA1cにお目にかかることはなさそうです。

自己血糖測定器を購入すれば毎日自宅で測定できますが、センサーも買わなければならないし、そこまでしたくないという気持ちも大きいでしょう。

しかもHbA1cだけなら毎日測ることはないし、1~2ヶ月に一度でよさそうです。

そういうことなら、「検体測定室」を利用してみてはいかがでしょうか?

検体測定室というのは、薬局などでその場で検査して、その場ですぐに結果をもらうという仕組みです。

説明を受けて、採血して、測定結果を受け取るまで、15~20分で済むそうですし、HbA1cだけなら500円程度から、血糖値と合わせても1,000円程度です。

採血してもらうのは医療行為になりますので、自分でチクッと小豆ほどの血を取ります。

セルフ血液検査とかセルフ測定とか言うのも同じです。

お近くにあるかはこちらのサイトで探すか、ネットで検索ですね。

ゆびさきセルフ測定室ナビ

 

そもそもHbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)とは?

ヘモグロビン

ヘモグロビンは聞いたことがあるかと思いますが、ちょっと詳しくお話しします。

体内でポルフィリンという物質と鉄が結合したものを、ヘムあるいはヘム色素と言います。

ヘムはそれからタンパク質と結合して、ヘムタンパク質と言われる物質になります。

それで、ヘムがグロビンというタンパク質と結合したものが、ヘモグロビンです。

ヘモグロビンは赤血球の中にあり、酸素と結合して酸素を全身に送るという重要な役目を果たしています。

通常のヘモグロビンは次のような組成で出来ています。

  • ヘモグロビンA0(約90%)
  • ヘモグロビンA1(約7%、A0に糖が結合したもの)
  • ヘモグロビンA2(約2.5%)
  • ヘモグロビンF(約0.5%)

更にヘモグロビンA1は、結合した糖の種類によってA1a1、A1a、A1b、A1cなどに別れます。

そのうち最も多いのがA1cで、A1cに結合している糖が、グルコース(ブドウ糖)なのです。

この糖化(ブドウ糖結合)は酵素反応などではないので、HbA1cの割合は血糖値に依存して、安定していることも分かりました。

2010年に米国糖尿病協会がHbA1cを診断基準の一つにすることを勧告したのを受けて、日本糖尿病学会も診断基準を改訂したという経緯があります。

 

まとめ

  • HbA1cの基準値は、6.5%以上で糖尿病型!正常値は6.0%未満です。
  • 性別・年齢による差もあるので、参考にしましょう。
  • JDS値というのは以前日本だけで使われていた数値で、現在はNGSP値が使われています。
  • 血糖値コントロールはHbA1c 6.0%未満を目標にしましょう。
  • 貧血などでHbA1cが低めに出ることがあります。
  • HbA1cを下げるのは高血糖対策と同じです。1~2ヶ月の数値変化を期待しましょう。
  • 1~2ヶ月に一度、HbA1cだけ測るなら、「検体測定室」が良いかもしれません。

健康診断で測る空腹時血糖値は、その日の体調などでもブレることがあります。

しかし同時に測るHbA1cは、ブレることはありませんので、HbA1cが6.0%以上なら、すぐに生活習慣を見直しすることをお薦めします。

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