疲れたときにチョコレートを食べるという人が結構いらっしゃいますが、血糖値も上がるのではと思いますよね。
そもそも疲労とは何か?なぜチョコレートで回復するのか?
チョコレートは好きだけど、血糖値が上がらないチョコレートは?
それだと疲労は回復しない?といった疑問にお答えするお話です。
「疲労」とはどんなものか
疲労と疲労感は違う
疲労は肉体的精神的な負荷によってパフォーマンスが低下することで、客観的に測れるものです。
疲労が蓄積すると、肉体的に思うように体が動作しなくなってきたり、精神的に集中力が無くなったり無気力になったりします。
疲労感は脳が疲れたと感じる感覚で、実際の疲労とは比例しません。
疲労感は、楽しいことでは感じない、つまらないことにつきあっていると感じるというように、主観的に変わるものです。
パフォーマンスが低下しているのに、まだまだ大丈夫と思って無理をするのは良くありません。ひどい場合は過労死につながります。
身体的疲労と精神的疲労
まず精神的疲労はストレスが原因であることが多いので、エネルギーを供給しても回復しません。
原因になっているストレッサーを除去することが根本解決になります。
一方、エネルギー不足による身体的疲労に対しては、ブドウ糖を供給すると早く回復します。
特に脳はインスリンを必要とせずにブドウ糖を直接取り込んでエネルギーとして使います。
(ブドウ糖が足りないときは肝臓で脂質から変換されるケトン体を使います。)
ブドウ糖を積極的に供給するというところから、チョコレートと食べると良いという話につながっているわけです。
なぜご飯じゃなくてチョコレート?
ブドウ糖を供給するという目的ならば、別にチョコレートじゃなくても良いわけで、極端な話、病院でブドウ糖の点滴を受けるのが一番効果的です。
(めちゃめちゃ血糖値が上がります)
ただ、身近にあるもので摂ろうとすると砂糖菓子になって、その代表がチョコレートということです。
飲まない方が良いですが、ブドウ糖果糖液糖が入ったエナジードリンクなんかも同じ理屈ですね。
ご飯やパンなどの炭水化物もブドウ糖に分解されるので、ご飯を食べれば良さそうな気がしますが、だめなのでしょうか?
ご飯に含まれるデンプンは多糖類なので、分解されてブドウ糖になるまで時間がかかります。
一方、砂糖(ショ糖)はブドウ糖と果糖がくっついたものなので、分解と吸収が早いのです。
結局のところ、チョコレートじゃなくても「疲れたときには砂糖を舐めると早くエネルギー供給できる」ということですね。
砂糖がいっぱいのミルクチョコレート
日本では公正取引委員会の認定を受けた「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」というのがあって、これによるとチョコレートの生地は、カカオマス、ココアバター、ココアケーキ又はココアパウダーを原料として、必要により糖類、乳製品、他の食用油脂、香料等を加えたもの。
このチョコレート生地が60%以上なら「チョコレート」としています。
ずいぶん混ざりものでも「チョコレート」なんですね。
ちなみに「準チョコレート」や「チョコレート菓子」はチョコレート生地の割合がもっと低いです。
一方、ヨーロッパEUではカカオ分(カカオマスやココアバター)が95%以上じゃないと「チョコレート」と言ってはいけません。
チョコレートの本場ベルギーでは、元々カカオ分100%が「チョコレート」でした。
ですから「疲れたときにチョコレート」は日本の砂糖(ショ糖)がいっぱい入ったチョコレートでの話です。
ここで日本の代表的な「ミルクチョコレート」の原材料を見てみましょう。
森永ミルクチョコレート
砂糖、カカオマス、植物油脂、全粉乳、ココアバター、脱脂粉乳、バターオイル、乳化剤(大豆由来)、香料
ロッテガーナミルクチョコレート
砂糖、カカオマス、全粉乳、ココアバター、植物油脂、乳化剤(大豆由来)、香料
明治ミルクチョコレート
砂糖、カカオマス、全粉乳、ココアバター、レシチン(大豆由来)、香料
いかがですか?原材料は多い順番に記載しますので、いずれもカカオマスより砂糖の方が多く入っています。
板チョコ1枚55g中、炭水化物が約30gで高カロリーです。
また、明治以外は植物油脂を使っています。
当然のことながら、このような砂糖がいっぱい入ったチョコレートを食べると食後血糖値が上がります。
血糖値が気になる人は、疲れたら休憩か睡眠を取る方が良いと思いますよ。
ダークチョコレートは血糖値を下げる
チョコレートを食べるなら、本来のカカオベースのダークチョコレートを食べましょう。
日本ではビターチョコレートとかブラックチョコレートとも言われる製品です。
カカオには食物繊維やミネラルが含まれていますし、カカオポリフェノールは質の良い抗酸化作用を持った成分です。
イギリスのイースト・アングリア大学とロンドン大学の共同研究によると、カカオポリフェノールなどのフラボノイド類には、インスリン抵抗性を改善して血糖値を下げる作用や、善玉コレステロールを増加させ動脈硬化を予防する効果があります。
また帝京大学とチョコレートの明治は共同研究では、カカオポリフェノールには腸内環境を良くして大腸がんを予防する効果があるとのことです。
ダークチョコレートのGI値は20程度ですので、食後血糖値も上がりません。
高カカオチョコレートの注意点
カカオに含まれるカフェインやテオブロミンは、摂取しすぎると眠れなくなったり利尿作用が強く働いたりします。妊婦や小さな子供は特に注意が必要です。
他にもチラミンという成分は、血管に作用するので偏頭痛などが悪化する可能性もあります。
まあ、過剰摂取になるほどたくさんは食べないと思いますけどね。