上の写真はピニトールを多く含むアイスプラントという野菜です。
ピニトールは、最近は血糖値対策サプリよりも妊活サプリの成分として話題になることが多いようですね。
全く違う目的のように見えますが、実は一つの機能が二つの目的につながっています。
今回はこのピニトールの機能と効果について詳しくご説明します。
インスリン様物質としてのピニトール
「インスリン様物質」とは、インスリンのようなもの、インスリンと似た働きをする物質です。
ピニトールは植物性のインスリン様物質ですが、他にもバナバに含まれているコロソール酸(コロソリン酸)や、ゴーヤなどに含まれているポリペプタイドP(チャランチン)も、同じような働きをします。
ではピニトールがインスリンの働きのどこと似ているのか、具体的に見ていきましょう。
インスリンの役割と働き
まずインスリンの働きを簡単に整理します。
- 食後に血液中のブドウ糖が増えると(血糖値が上がると)、すい臓からインスリンが分泌されて、ブドウ糖を肝臓、骨格筋、脂肪組織へ取り込ませます(血糖値を下げます)。
- すぐにエネルギーとして使われない余分なブドウ糖は、肝臓や筋肉でグリコーゲンとして貯蔵されますが、このグリコーゲンの合成を促進するのもインスリンの役割です。
- また食事の間の空腹時は、グリコーゲンを分解したり、アミノ酸などから糖を合成したりして(糖新生といいます)エネルギーにするのですが、あまり作り過ぎないように抑制するのもインスリンの役割です。
出典:メディマグ. 糖尿病
グルコーストランスポーター(糖輸送体・GLUT)とは何か?
さて、ピニトールがインスリンの、どの役割を代わりに果たすかと言いますと、最初にご説明している「細胞にブドウ糖を取り込ませる」機能になります。
ここで登場するのが、グルコーストランスポーター(glucose transporter:GLUT・糖輸送体)と言われる特殊なタンパク質です。
糖はGLUTに引っ張ってもらわなければ細胞膜を通過することができないのです。
GLUTは、その場所や機能によって、GLUT1から12まで番号が付いており、特に1~4が重要です。
このうち、インスリンの作用、インスリン感受性によって、主に脂肪細胞・骨格筋・心筋にブドウ糖を取り込むのが、GLUT4です。
実は血糖の約80%は、GLUT4による骨格筋への取り込みなのです。
出典:理化学研究所
インスリンに代わってGLUT4を呼び出すピニトール
インスリン分泌能力が低下すると当然GLUT4による糖の取り込みも低下しますが、インスリン感受性が低下して、インスリンがうまく働かなくなっても同様のことが起こります。
このような状態を「インスリン抵抗性」があると言います。
またインスリン抵抗性による糖尿病では、GLUT4自体も減少すると言われています。
ピニトールは、インスリンに依存せずにGLUT4を亢進(こうしん)することが、多くの検証データで分かっています。(亢進とは機能を高めて進めること)
GLUT4による糖の取り込みを促進し、血糖からの流れをスムーズにする、これがピニトールの機能です。
ピニトールは体内で分解されてメチル基とカイロ-イノシトールという物質になるのですが、ピニトールの機能はこの「カイロ-イノシトール」の機能と言い換えてもよいと思います。
ちなみに運動による筋肉の収縮でも、インスリンに依存せずGLUT4を亢進し、量を増やすとされています。
これが糖尿病の運動療法での科学的根拠です。
多嚢胞性卵巣症候群の改善とピニトール
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、排卵がうまく行えず不妊症の原因になるとされている障害です。
PCOSの原因は、ホルモンバランスが崩れて男性ホルモンが優位になることだとされていて、インスリンの関与が影響しています。
インスリン抵抗性があると、まだ血糖値は正常範囲でも、必要以上にインスリンを分泌している可能性があります。
カイロ-イノシトールがPCOSの改善に効果があることは、アメリカヴァージニア大学の研究や検証データで確認されていますが、根本的には、先にご説明したGLUT4による糖の取り込みを促進していることが要因ではないかと思います。
PCOSについてはこちらの記事で詳しくご説明していますので参考にしてください。
ベジママは妊娠糖尿病・PCOSが気になる女性の妊活葉酸サプリ
ピニトールはどこにある?
ピニトールは、大豆やルイボスなどにも含まれていますが、アイスプラントの含有量が突出しています。
アイスプラントは、表面にある水滴のような細胞が特徴で、「ブラッダー細胞」といって塩分を溜め込んでいます。
クセがなく味もほんのり塩味がする程度で、どちらかというと食感を味合う野菜です。
ピニトールが注目されますが、カリウム、マグネシウムなどのミネラルも豊富です。
生のアイスプラントはブランド名で販売されていますので次のような名前を見つけたら、すべてアイスプラントです。
「ツブリナ」「潮菜(シオーナ)」「プッチーナ」「ソルトリーフ」「バラフ」。
どれも国内産で、室内での水耕栽培が行われています。
ピニトールに関しては、アイスプラントのままで食べていては、変化が現れるほどの量には及びません。
そこで、アイスプラントからピニトールを抽出加工する技術が研究されて、サプリメントとして摂取するのが一般的になっています。
米国食品医薬品局(FDA)は、ピニトールをダイエタリーサプリメントに認定しています。
ピニトールの安全性
ピニトールに関する副作用や健康被害の報告はありません。
ピニトールの摂取量に関しても十分な情報が無いのですが、イノシトールについては、経口摂取で適切に使用する場合、安全性が示唆されています。
ピニトール配合のサプリメントでも1日あたり300mg程度ですので、全く問題ありません。
ピニトール配合のサプリメント
血糖値対策のグラシトール
グラシトールは他の記事でもご紹介していますが、血糖値対策のためのピニトール配合サプリとしては、ほぼこれしかないという状況です。
モンド・セレクション金賞を連続で受賞し続けているサプリです。
こちらの記事も参考にしてください。
妊活サプリのベジママ
ピニトールと、葉酸を十分に配合したサプリとしては、やはりこれしかないというサプリです。
ルイボスや、ビタミンB群も豊富で、妊活サプリに適しています。
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こちらの記事も参考に。
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