シナモンに血糖値を下げる効果があるのか調べてみた

シナモンスティックとシナモンパウダー 血糖値と糖尿病のコラム

糖尿病合併症の原因と言われるAGEの専門家、牧田 善二さんの著書「糖尿病専門医にまかせなさい」の中で、”カルテから-シナモンはすごく効きます”ということが書かれてありました。

 

シナモンの血糖値降下作用については以前から注目されているのですが、医薬品はもちろん、最近の血糖値対策サプリにもあまり見かけないので、なぜだろうと思って詳しく調べてみました。

シナモンって、どれのこと?

まず混乱したのが、シナモン、ケイヒ、ニッキなどが同じとか違うとか、いろいろ書かれているので何のことを言っているのか分かりづらいということです。

そこで、整理をして図にまとめてみました。

シナモン、ケイヒ、ニッキなどの説明図

オリジナルな話でいうと、香辛料である「シナモン」はセイロンニッケイの樹皮を乾燥させたもの。乾燥すると丸まってシナモンスティックになり、内側の層がパウダー状になります。

オイゲロールという成分が多く甘い香りがして、色も黄褐色に近いのが特徴です。

 

「ニッキ」は元々日本産であるニッケイ(日ケイ)の、根の皮から作ったものが始まりで、京都の八つ橋で使われているような、ピリッとしたスッキリ感が特徴です。

ニッキが使われる京都の八つ橋

そして漢方薬に出てくるケイヒ(桂皮)とは、トンキンニッケイ(シナニッケイ)、ケイなどの「カシア種」と呼ばれる品種から作ったものです。

「桂皮」とは幹の皮で、「肉桂(ニッケイ)」も「桂皮」とほぼ同じです。

「桂枝(ケイシ)」は若い細枝またはその樹皮で、果実は「肉桂子 (ニクケイシ)」と呼ばれています。

 

ここまでの分類は比較的分かりやすいのですが、ややこしいことにトンキンニッケイなどのカシア種からも、「シナモン」や「ニッキ」がたくさん作られるようになったのです。

だから同じとか違うとかいう話が混在しているのですね。

 

カシア種を使う理由は原材料が安く大量生産できるからで、風味や香りはオリジナルなものとは当然違ってきます。

検証や実験データから見たシナモンの血糖値降下作用

効果ありなし両方の試験データがある

さてここからがシナモンの効果についてのお話です。

結論からいうと、血糖値が下がるという決定的な証明には至っていません。

効果があったというデータもあるし、変化が見られなかったというデータもあります。

 

ただ言えるのは、これらの試験は「シナモンを使って」というだけで、どの品種のどの部位を使ったのかが分からないということ。

品種や部位が違えば当然成分も異なりますので、違う結果が出るはずです。

 

少なくとも効果があったという結果が複数存在しますので、選ぶものを間違わなければ効果があるのだろうと、私は思います。

化学的な実験データによると

社団法人 日本食品科学工学会というところが、市販香辛料のα-アミラーゼ活性およびα-グルコシダーゼ活性に及ぼす影響という実験を行ったことがあります。

α-グルコシダーゼは糖質を分解する酵素ですので、これを阻害するのであれば、サラシアや桑の葉と同じ機能があることになります。

 

この実験結果によると、「オールスパイス,シナモン,タイムは加熱処理の有無によらずα-アミラーゼ,α-グルコシダーゼのいずれに対しても強い阻害作用を示した。」ということで、「香 辛料の適切な選択による糖尿病予防・治療食への香辛料の応用可能性が示唆された。」と結論づけています。

 

しかもこの実験で使われたシナモンはSB食品のシナモンパウダーで、中国産のトンキンニッケイです。

試験管レベルでの反応実験ですので血糖値への効果は測れませんが、期待が持てる実験結果ですね。

総合的に見て

どの品種の何が有効成分なのか不明なので、機能性表示食品にもなり得ませんが、どうやらシナモンには血糖値を下げる効果がありそうです。

香辛料ですので気軽に試してみる価値はあるのではないでしょうか。

シナモンの安全性について

食品で少量なら安全

まず食品に混ぜて風味を楽しむ程度なら、少量ですので全く心配はありません。

しかし毎日グラム単位で摂取するとなると、安全性への配慮も必要です。

カシア種の大量摂取は副作用に注意

シナモンに含まれる「クマリン」という成分を過剰摂取すると、肝障害を誘発することが分かっています。

この有害なクマリンの含有量を品種で比較すると、セイロンニッケイに比べてトンキンニッケイなどのカシア種の方が、平均200倍以上多く含まれています。

 

特にベトナム産が多く、中国産は比較的少ないのですが、カシア種を1日数グラム単位で継続摂取すると危険で、ベトナム産は1日1gで過剰摂取になるようです。

 

それに比べてセイロンシナモン(スリランカシナモン)ですと、1日300gでも大丈夫という数値になります。

ちょっと高いけどセイロンシナモンにしよう

セイロンニッケイ

牧田 善二さんの著書「糖尿病専門医にまかせなさい」の中に出てくる、シナモンで血糖値を改善した患者さんの話しでは、コーヒーにシナモンを溶かして1日3g以上飲用。

4ヶ月でHbA1cが9.9から5.6に下がったそうです。

GABAN(ギャバン) シナモンパウダー

を使ったようですが、ほんとうはセイロンシナモンが良いと書かれています。

GABANのシナモンパウダーは、スリランカ、インドネシア、中国、ベトナム、マダガスカルのブレンドです。

セイロンシナモンスティックならGABANにもありますけど。

 

ネットで探すとGABAN以外ならパウダーのセイロンシナモンがありました。

マスコット セイロンシナモンパウダー

 

神戸スパイス シナモンパウダー セイロン スリランカ産

このあたりがお薦めのシナモンです。

 

ちなみにシナモンのサプリメントはアメリカのNOW社やドクターズベスト社などから販売されていますが、カシア種でクマリンを取り除いていませんので、避けたほうがよいでしょう。

 

サプリメントならこちらの記事で。

血糖値を下げるサプリの機能分類-あなたにピッタリなのはこれ!

タイトルとURLをコピーしました