妊婦の血糖値は上がりやすい!怖い妊娠糖尿病の原因と対策

妊婦の血糖値。妊娠糖尿病 血糖値と糖尿病の知識

日本の糖尿病患者の約95%は2型糖尿病ですが、年齢別に見ると圧倒的に高齢者が多く、40歳未満での発症はわずか1%台です。(厚生労働省の国民健康・栄養調査による)

ところがこの妊娠糖尿病に関しては、対象者の12.08%、なんと妊婦さんの約8人に1人というかなり高い確率で発症することが報告されています。(日本糖尿病・妊娠学会による)

今回はこの妊娠糖尿病の原因や症状から、赤ちゃんへの影響、そして予防までを詳しくご紹介します。

妊娠したら、あるいは妊娠の計画があるなら妊活の一部として、しっかりチェックして血糖値コントロールをして頂きたいと思います。

妊娠糖尿病とは(糖尿病合併妊娠との違い)

妊娠糖尿病とは、妊娠の影響で発症する糖代謝異常の一種です。

糖尿病と名前がついていますが、あくまでも糖尿病には至らない軽度のものを指します。

糖代謝異常が軽度ではなく重度の場合は、妊娠中に診断された明らかな糖尿病であり、妊娠前から既に糖尿病と診断されている場合は、糖尿病合併妊娠となりますので妊娠糖尿病とは別物として扱われます。

いくら糖尿病には至らない軽度なものだとしても、お腹の中にいる赤ちゃんへの影響なども考えるととても不安になりますよね。しかし余計な不安を抱えるのもストレスになり悪影響を与えます。

是非正しい理解をして、冷静に対処するようにしましょう。

妊娠糖尿病の原因と血糖値について

では具体的に妊娠糖尿病を発症する原因と血糖値についてご説明します。

基本的に糖尿病とは、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが、不足したり正常に働かなくなることにより、血糖値が下がらなくなる病気です。

妊娠糖尿病も同様に血糖値が上昇することにより発症します。ではなぜ妊娠中に血糖値が上昇するのでしょう?

まず妊娠すると母体のホルモン分泌に変化が生じます。

具体的には、通常は卵巣で作られるエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが、胎盤で作られるようになります。

また血糖値を下げるインスリンと血糖値を上げるグルカゴンのバランスが崩れて、グルカゴン優位になる場合もあります。

次に、妊娠するとお母さんは胎児にもエネルギーとなるブドウ糖を供給しなければなりません。

そのことから、妊娠時には胎盤でインスリン抵抗性ホルモンと呼ばれるインスリンを分解する蛋白分解ホルモンが異常分泌されます。

これは赤ちゃんのエネルギー源でもあるブドウ糖を母体だけで消費するのを防ぎ、赤ちゃんの成長を促すためです。つまり、インスリンの邪魔をするわけですね。

正常な妊婦さんであれば、インスリン抵抗性ホルモンが異常分泌される時期になると、すい臓からインスリンを多く分泌して血糖値を上げないようコントロールします。

しかし必要なインスリンを分泌することができない、あるいは分泌してもインスリンが効かない体質の妊婦さんは、そのコントロールができずに血糖値が上昇してしまいます。

100%解明されているわけではありませんが、これらが妊娠糖尿病を発症する原因です。

どんな妊婦さんが妊娠糖尿病になりやすいのか?

妊娠糖尿病は、それまで高血糖と診断されたことがない方であっても発症する可能性はゼロではありません。しかし発症しやすいタイプというのは存在します。

日本糖尿病・妊娠学会では下記のようなタイプの方は妊娠糖尿病を発症するリスクが高いとしています。

  1. 糖尿病の家族歴
  2. 肥満
  3. 35歳以上の高年齢
  4. 巨大児分娩既往
  5. 原因不明の習慣流早産歴
  6. 原因不明の周産期死亡歴
  7. 先天奇形児の分娩歴
  8. 強度の尿糖陽性もしくは2回以上反復する尿糖陽性
  9. 妊娠高血圧症候群
  10. 羊水過多症

分かりやすくすると、家族に糖尿病の方がいる、またはいた。そして肥満体質で初産ではなく2回目以降の妊娠で以前の出産の際に何かしら問題があった方は、妊娠糖尿病を発症するリスクが高いということになります。

現在、妊娠糖尿病のスクリーニング検査は、妊娠したら皆さん受けると思いますが、上記の条件に1つでも当てはまるものがある方は、特にスクリーニング検査は必須となります。

可能であれば妊活中の方も異常がないかスクリーニング検査を受けることをお薦めします。

妊娠糖尿病の症状と赤ちゃんへの影響

胎教する妊婦さん

妊娠糖尿病が発症した場合、どういった症状が出て、赤ちゃんにはどういった影響が出るのか?妊婦さんにとって一番気になるところですよね。

 

妊娠糖尿病は通常の糖尿病と同様に、初期段階ではあまり自覚症状はありません。

自覚症状がないままに病状は進行し、そのうちにのどが渇く頻尿になり1回の量も増える疲れやすいといった症状が現れてきます。

しかしこの段階でも妊娠中ということで、そもそも疲れやすく、赤ちゃんがお腹にいることで膀胱が圧迫されてトイレが近くなりやすいため、これが妊娠糖尿病の症状であると気づくケースは多くありません。

ほとんどの場合、妊娠中の検査によって妊娠糖尿病と判明するようです。

検査によって早期発見されればよいのですが、発見が遅れ高血糖状態が続くと、流産や早産のリスクが高まります。

また妊娠中毒症妊娠高血圧症候群羊水過多症尿路感染症などの合併症を起こしやすくなります。

妊娠中に高血糖状態が続けば、当然赤ちゃんにも大きな影響を及ぼします。

流産や早産のリスクが高まるだけではありません。

無事に出産できたとしても胎児発育不全胎児機能不全を起こす可能性が高くなります。

また巨大児低出生体重児先天性奇形、そして新生児低血糖などさまざまなリスクがあります。

妊娠糖尿病の検査方法と判定基準

このように母体や生まれてくる赤ちゃんに大きな影響を与える妊娠糖尿病は、早期発見が非常に重要になります。

妊娠糖尿病の検査は通常は妊娠初期(妊娠4~12週)、そして中期(妊娠24週~28週)に血液検査を行い、ここで血糖も併せて検査します。

 

妊娠初期の血糖検査は、食事時間に関係なく血糖値を測る随時血糖検査で、基準値は100mg/dlとなっています。

もしこの基準値以上の数値が出た場合は、「75gOGTT」の検査を行います。

75gOGTTとは、朝食抜きで受診し、ブドウ糖75gを飲む前、飲んでから1時間後、2時間後の計3回、血糖値を測る検査です。

空腹時100mg/dl以上、1時間値180mg/dl以上、2時間値150mg/dlが基準値となり、このうち2つの基準値を超えた場合、妊娠糖尿病と診断されます。

 

妊娠中期の血糖検査は、50gGCT(経口ブドウ糖負荷テスト)を行います。

尚、この50gGCTは、随時血糖検査もしくは75gOGTTで正常値が出た方のみ、実施されます。

この50gGCTとは、食事時間に関係なくブドウ糖50gを飲み、1時間後に血糖値を測る検査で、基準値は140mg/dlとなっています。

もしこの基準値以上の数値が出た場合は、再度「75gOGTT」の検査を行います。

妊娠糖尿病の治療法と予防のすすめ

出産後の母子

妊娠糖尿病の治療法は、食事療法、運動療法、インスリン投与、サプリメントやハーブの利用などがあります。

個人の体質や症状により変わってきますので、医師と相談の上、最適な方法を選択するようにしてください。

 

妊娠糖尿病は真性の糖尿病ではありませんので、普通、出産後は治まります。

しかし妊娠糖尿病の妊婦さんは、そうではない妊婦さんに比べて、将来糖尿病になる確率が7.43倍であるという報告もあります。

将来的な糖尿病リスクを減らすためには、妊娠糖尿病の予防が大事です。

妊娠後ではさまざまなリスクを抱えることになりますので、妊娠前からしっかりと血糖値コントロールをしておくことが求められますし、妊娠前の段階で検査を行うことも検討してください。

また、当サイトの血糖値を下げる方法(食事・運動・お茶(ハーブ)・サプリメントなど)も是非参考にしてください。

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