桑の葉に血糖値を下げる効果があることはよく知られていますが、桑の葉の有効成分までご存知の方は、それほど多くないのではないかと思います。
そこで今回は、桑の葉に多く含まれるDNJについて掘り下げて、効果的に摂取する方法などもご紹介します。
DNJの機能(桑の葉が血糖値を下げる理由)
DNJの正式名称は、1-デオキシノジリマイシン(1-deoxynojirimycin)と言います。
舌を噛みそうな名称で覚えてられませんね。
DNJは糖尿病治療薬として病院で処方される「αグルコシダーゼ阻害薬」の原料成分として使われることもありますので、その効果は間違いないです。
ではDNJの機能と血糖値が下がる仕組みをご説明しましょう。
ブドウ糖が血液中に吸収されるまでには、炭水化物などのデンプンから二糖類(ショ糖や麦芽糖)、そして二糖類からブドウ糖へと分解(消化)される過程があります。
この分解を行うのが、αグルコシダーゼなどの消化酵素です。
ですから、ショ糖や麦芽糖をブドウ糖へ分解するαグルコシダーゼに仕事をさせなければ、ブドウ糖ができることもなく、血糖値も上がらないということです。
DNJは、その化学構造がブドウ糖と非常に似ているため、αグルコシダーゼが間違ってDNJに反応してしまい、ショ糖や麦芽糖は見逃されてそのまま腸を流れていきます。
釣りの疑似餌みたいに引っかかるのですね。
酵素で分解されなかった二糖類は、大腸まで行って腸内細菌によって分解されます。
大腸が活発に動くので、便通や腸内環境の改善も期待できますよ。
一方DNJのほうは、ブドウ糖のように血液中に流れ、そのままの形で栄養経路を通って排泄されるようです。
DNJと同じような働きをするものでは、サラシアに含まれるサラシノールやコタラノールが有名です。
イヌリンや難消化性デキストリンなどの水溶性食物繊維は、ブドウ糖を包み込んで吸収されるのを阻害するものですので、糖質が分解された後の話ですね。
注意したい飲み合わせや副作用
すでにご説明したとおり、αグルコシダーゼ阻害薬やサラシアといった、DNJと同じ機能を持つ製品とダブルで摂取すると、効きすぎて低血糖症を起こす危険性もありますので、注意が必要です。
インスリンや、ピニトールなどのインスリンと似た成分も、同時摂取は避けるべきです。
ただし一つの製品に少量ずつ計算して配合している場合は、問題ないでしょう。
副作用は特になく、一般的には安全とされています。害の報告がほとんどないと言ったほうがよいでしょうか。
アレルギーなどの異常を感じたらすぐに止めればよいです。
桑の葉の栽培は血糖値のためと言ってよい
自然界でDNJを含むものとしては、桑の葉や根が圧倒的に多いようです。
他には「あおばな」も有名ですが、どちらも日本で栽培される植物です。
桑の葉は、元々養蚕業で生糸を作る蚕(かいこ)を育てるために栽培されていたものですので、栽培技術が日本にあるのです。
養蚕業は衰退しましたが、近年はもっぱらDNJをより多く含むなどの健康機能性を上げる品種改良が行われていて、桑の葉の栽培が復活しています。
また桑の葉にはQ3MG(ケルセチン3-(6-マロニルグルコシド))という抗酸化物質も含まれています。
Q3MGが肝臓など臓器の酸化ストレスを緩和することで、肥満やインスリン抵抗性を抑制している、あるいは高血圧や動脈硬化の予防になっているという研究結果もあります。
良質な桑の葉はどれだろう?
桑の葉のDNJは、新芽の柔らかい葉に最も多く含まれています。
摘み方や製法によっても変わりますが、やはり品種によって大きな違いがあります。
日本で栽培されている桑の品種は千数百種類あると言われていますが、最も多いのが「一ノ瀬」という一般的な品種です。
しかしDNJの含有量で比較すると、品種改良された「きぬゆたか」「鶴田」「はやてさかり」などが優れています。
新品種は全国各地で栽培されているようですが、販売されている製品をみると、生産量としては鹿児島県が多いようです。
桑の葉エキス(DNJ)が含まれるサプリメント
桑の葉は煎茶のものや、抹茶に加工したものなどが多く、桑の葉エキスだけのサプリメントはほとんどありません。
水溶性食物繊維の「イヌリン」をメインに「桑の葉エキス」「サラシノール」も配合した、「ルックルックイヌリンプラス」はお薦めです。
糖質の「分解」と「吸収」のダブルブロックで構成されていて、とてもコスパが良いです。
レビュー記事もあります。
ルックルックイヌリンプラスの効果と購入レビュー・口コミ・Q&A
桑の葉の有用性については、世界でも日本が先行していますので、これからの研究も楽しみです。