血糖値に関係するダイエット法は、「糖質制限ダイエット」をはじめ、「低炭水化物ダイエット」「炭水化物抜きダイエット」「食べる順番ダイエット」「低インシュリンダイエット」「ケトン式ダイエット」と、いろいろあって何がどう違うのかって感じですよね。
そこで今回は、これらダイエット法の基本的な考え方から、派生しているそれぞれのダイエット法の違いなどについてまとめてみました。
糖質を減らすことが基本
糖質制限は血糖値を下げるのに有効ですが、ダイエットにも非常に有効です。
カロリーを減らすよりも糖質を減らすほうがダイエットになることが、多くの実験でも証明されているのです。
もちろん肥満の方はカロリーも意識した方がよいですが、糖質を減らすだけでも十分減量が可能です。
糖尿病や糖尿病予備群の場合はインスリンの働きが悪くなっていたり分泌能力が落ちていたりしますので、糖質制限は血糖を増やさないようにするのが第一目的で、結果的に肥満の解消にもつながります。
では、血糖値が正常な人の場合はどのようなメカニズムになるでしょうか?
健康な人は糖質を摂りすぎても、しっかりインスリンが働いて血糖値は正常に戻りますが、同時にインスリンの作用で、余ったブドウ糖が脂肪となって蓄えられていきます。
糖質制限をすることによって、この脂肪への変換をストップさせます。
更に、体内のブドウ糖が少なくなると、蓄えていた脂肪を使ってエネルギーにしますので、この変換がダイエットを促進します。
逆に糖質を取り過ぎて高インスリン状態が続くと、徐々にインスリンの分泌能力が落ちてきたり、効き目が低下してきて、高血糖につながります。
そのため肥満には糖尿病が多いという結果になるのです。
各種ダイエット法の違い
「糖質制限ダイエット」「低炭水化物ダイエット」
「糖質制限ダイエット」と「低炭水化物ダイエット」は、これまでご説明してきた「糖質を減らす」という基本のダイエット法で、どちらもほぼ同じことです。
厳密に言うと炭水化物には糖質と食物繊維も含みますので、食物繊維を除く糖質制限の方が正確ですね。
「食べる順番ダイエット」「低インシュリンダイエット」
「食べる順番ダイエット」と「低インシュリンダイエット」も目的は同じですが、食後血糖値を急激に上げないという意味合いも含んでいます。
血糖値が急激に上がると、それだけたくさんのインスリンが分泌されて脂肪を溜め込む量も増えますし、その後急降下すると空腹感が出てきてまた食べたくなるという弊害もあるからです。
このような血糖値の急激な上昇降下をグルコーススパイクと言いますが、これを防ぐために低GI食品を選んだり、食べる順番を、野菜から脂肪・タンパク質、最後に炭水化物にして、吸収を緩やかにするということです。
「炭水化物抜きダイエット」「ケトン式ダイエット」
「炭水化物抜きダイエット」と「ケトン式ダイエット」は、徹底的に糖質を抜くという最も厳しいダイエットになります。
体内のブドウ糖が少なくなると脂肪が使われると言いましたが、このとき肝臓でできるのが「ケトン体」です。
厳しい糖質制限で糖代謝の異常が続くと、常に脂肪をエネルギー源とするようになり、脳はブドウ糖ではなくケトン体で働くようになります。
もちろんダイエットには効果てきめんなのですが、厳しい糖質制限にはデメリットもあります。
まず、赤血球はブドウ糖だけをエネルギーにしますので、糖質はゼロにはできません。
次に、ケトン体が多くなりすぎると、血液のpH(ペーハー)が酸性に傾いて、「ケトアシドーシス」という状態になります。
吐き気や脱水症状を起こしたり、そのまま進行すると昏睡状態から死亡することもある危険な状態なのです。
また、少量の糖質でも脂肪が付きやすくなり、リバウンドしやすいとも言われていますので、あまり厳しい糖質制限はお薦めしません。
ダイエット目的の場合は、「糖質を減らす」程度でも十分効果が現れますので、気負わずに楽しむのがよいと思います。