ペットボトル症候群を易しく解説

ペットボトル症候群 血糖値と糖尿病のコラム

「ペットボトル症候群」という言葉は聞いたことがある方も多いと思います。

しかし正確に理解している方は少ないのではないでしょうか?

血糖値や糖尿病と深く関連することですので、今回はこの「ペットボトル症候群」を、すっきり理解できるように解説したいと思います。

 

ペットボトル症候群とは

「ペットボトル症候群」は、一言で言うと「ケトアシドーシス」のような状態。

「糖尿病性ケトアシドーシス」というのが特に1型糖尿病患者に多いのですが、同じような状態が、清涼飲料水の飲み過ぎで起こることがあります。

つまり清涼飲料水の糖分が血液中にどんどん流れて処理しきれなくなり、インスリン感受性の低下を起こし、糖尿病のような状態になるわけです。

これが、「清涼飲料水ケトアシドーシス」、俗に言う「ペットボトル症候群」です。

2型糖尿病患者や糖尿病予備群も注意が必要ですよ。

 

いきなり糖尿病患者と似たような症状を起こしますので、「急性糖尿病」とも言われます。

「若年性糖尿病」と言われることもありますが、清涼飲料水の飲み過ぎは若年に限ったことではありませんので、あまり使われません。

 

糖尿病性ケトアシドーシスとその症状

普段私達の血液は、pHが7.4前後になるように保たれていますが、これが酸性に傾いてpH7.35以下になった状態を「アシドーシス」と言い、逆にpH7.5以上の状態を「アルカローシス」と言います。

 

そして、アシドーシスの原因が「ケトン体」の大量生成にある場合、「ケトアシドーシス」と言います。

ケトン体は肝臓で脂肪を酸化して作る物質で、ブドウ糖(グルコース)によるエネルギーが不足したときに、ブドウ糖の代替エネルギーとして使っています。

 

糖尿病患者の場合、インスリンの分泌不全などで糖代謝が低下しますので、このケトン体が大量に作られて、ケトアシドーシスになることがあり、これを「糖尿病性ケトアシドーシス」と言います。

 

ケトアシドーシスになると、のどの渇きや倦怠感、あるいは急に体重が減るなどの症状が現れてきて、重度になると尿がたくさん出る、吐き気がする、意識が混沌とする、そして最悪の場合は昏睡状態になって死に至ることもあるのです。

 

注意したいスポーツドリンクの飲み過ぎ

「清涼飲料水ケトアシドーシス」の清涼飲料水とは、特にブドウ糖果糖液糖などの糖分が多いもので、ジュースやスポーツドリンクなどです。

清涼飲料水に含まれる糖分は、吸収されるのが非常に早いので、急激に血糖値が上がりやすいのが特徴です。

そして、普段は血糖値に異常がない人は、何の懸念もなくつい飲み過ぎてしまうことが多く、健康な人でもペットボトル症候群になる可能性があり、発症する時は突然なのです。

 

ペットボトル症候群になりやすいのは、10代から30代の男性だと言われています。

これは、女性よりも飲み物をがぶ飲みすることが多いためで、実際に発症した人の中には、1日に2リットル以上の清涼飲料水を飲んでいた、という人もいます。

10代ですと部活動などで運動中にスポーツドリンクを飲むことが多く、気付かないうちにペットボトル症候群になる危険性があります。

ケトアシドーシスの状態で、のどが乾いたからといって清涼飲料水を飲むと、糖分を更に摂取してしまって、悪循環におちいるわけです。

ペットボトル症候群の予防対策と治療法

ペットボトル症候群を発症すると、軽度であれば病院で糖分を排出する点滴を受けるなどして、1~2日で回復します。

重度の場合は1週間程度の入院が必要となるでしょう。

症状が回復してもしばらくは血糖値をチェックして注意する必要があります。

もちろん清涼飲料水は飲まず、糖分を控えます。

油断していると、そのまま糖尿病の治療が必要になる可能性もあるのです。

 

予防対策としては、一気にたくさんの清涼飲料水を飲まないように500mlのペットボトルを避けて量が少ないものを選ぶ、スポーツをしている時はスポーツドリンクを飲み過ぎないよう水で薄めて飲む、清涼飲料水をコップで飲む時は小さなコップを使うようにするといったことで、意識をしなくても予防になるでしょう。

また、清涼飲料水ではなくて、なるべくミネラルウォーターや緑茶、烏龍茶などのお茶を用意して飲むようにしたほうが良いです。

 

そもそも血糖値が高めの人は、糖分が入った清涼飲料水は日頃から飲まない習慣をつけて頂ければと思います。

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